文:野呂昶
制作:立命館大学DAISY研究会

森の 中で、しかと、ねずみと、かめと、からすが、出あいました。
「ぼくたちは、一ぴき一ぴきでは よわいけれど力を あわせて たすけあえば、しあわせに くらしていける。
いっしょに すまないか?」
かめが いいました。
「うん、それは いい。いっしょに すもう!」
みんなは、さんせいしました。

森の おくに、ちょうどいい 大きさの いわあなが 見かりました。
ねるのも、おきるのも、しょくじを とるのも、みんないっしょ、なかよく くらしていました。

ところが、ある日の おひるの しょくじの とき、しかが、いくら まっても、かえってきません。
からすが さがしに でかけました。
すこし すると、からすが あわてて かえってきて、いいました。
「たいへんだ。しかさんが、わなに かかってしまった。
はやく たすけに いこう。かめさんは、るすばんを たのむよ。」

みんなは、おおいそぎで、とび出していきました。
しかの いる ところまで くると、
ねずみは、おおいそぎで、足に からみついた、わなの むすび目を かじりました。
じょうぶな つなで、なかなか かじれません。

やっとの ことで、かみきった とき、木の えだで 見はりを していた、からすが さけびました。
「りょうしが きたぞ!はやく にげろ!」
からすと しかと、ねずみは、いそいで 森の しげみに、かくれました。
りょうしは、わなの ちかくの、足あとを 見ると、
「うん、せっかく しかが かかっていたのに、だれかに とられてしまったようだ。
しかたが ない。もう一ど わなを しかけておこう。」
あらたしい わなを つくりに かかりました。

そのとき、
「あっ、いけない!」
みんなは、青くなりました。
かめが、りょうしの すぐ ちかくに、はいだしてきたからです。
りょうしは、かめを 見つけると、
「これは いい えものが やってきた。
しかの かわりに、しるに 入れて たべれば、うまいだろう。」

なんなく、かめを つかまえると、ふくろに 入れて、かたに せおいました。
「ああ、こまった。こまった。どうすれば いいだろう?」
しかと、からすと、ねずみは、あたまを よせて、そうだんしました。
「うん、いい ことを おもいついた。」
しかが いいました。
「それが いい!」
みんなが、さんせいしました。
しかが、しげみから ぬけでて、りょうしの すぐ 目の まえに、おどり出ました。

「おまえだな、わなから にげたのは。」
りょうしは、さけびました。
「よし、いけどりに してやる!」
りょうしは、ふくろを なげ出すと、しかを おいかけはじめました。
ところが、つかまえられそうに なると、するりと みを かわして、森の おくに にげこみました。

その あいだに、からすと、ねずみは、かめを たすけだし、いそいで いわあなすみかに、かえっていきました。
やがて、しかが かえってきました。
「ぼくが、わなに かかってしまって、みんなに、めいわくを かけたね。ごめんよ。」
しかが いいました。
「でも、みんな ぶじで よかった。それでは、おそくなったけど、おひるの しょくじに しよう!」
みんなが そろうと、せまい あなの 中が、なんだか、ぱっと あかるくなりました。

出典 パンチャタントラ